来たるタイミングに備えろ


「上手いカメラマンには、いいモデルがつく」    = 「玄人には玄人」の強力コンビ。
「下手なカメラマンには、それなりのモデルがつく」 = 「素人には素人」の平凡コンビ。  
これが現実であり、よっぽどの幸運に恵まれない限りどうにも出来ないことである。
個人撮影できる素人モデルが一人でもいれば、幸せな方だと思わなければならない。
これからの季節や寒い冬でも、カメラの前で長時間機嫌よく微笑んでくれる相手はなかなかいるもんじゃない。

モデルになってくれるのなら誰でもいいって人は、そう多くはないだろう。
やっぱり、撮りたい気分が盛り上がる相手じゃなければ写真は上手くならないのである。そうなると、身近にモデルがいない場合は、いいモデルが出る撮影会に参加するしか手はないのだ。これだけは、恥をしのんで参加してみるべきだ。もし、抵抗があったとしても、余計な心配だったと思えるはずだから。
公共の公園などでの撮影になるから、一人のモデルを多くのカメラマンが取り囲んで撮ってるシーンは一般人の目には、とんでもなく奇妙であり、場合によっては薄気味悪く映るかもしれない。
その輪の中の一員でいることは、客観的に見ると自分でも背筋に寒いものが走るだろう。しかし、実際にファインダーの中で真剣勝負をしていれば、そんなことは忘れていなければならない。
さらに、他の参加者を差し置いてモデルとの空気感が表現出来だした頃には、いい写真が撮れている実感が湧いてきいていることであろう。今なら、デジタルなので即座に結果が確認出来てしまうのだから、なおさら気分が盛り上がることになる。

撮影会で腕をあげ、自分の中でそこそこのデータやノウハウの蓄積が出来たなら、技術的な失敗はほとんどなくなっていることだろう。さらに、デジタルになると撮り直しが出来るだけにリスクは少ない。ただ、頻繁にモニターを見ながら撮るのは、リズムも悪くなるしモデルの信頼も得にくいので、そんなものをいちいち見なくても自信が持てるようになりたいものだ。撮ってはモニターを見て、削除ボタンを押すの繰り返しなどは、もってのほかである。自分の失敗もあるだろうが、モデルにとっては私がダメなのかも・・・って不安材料にしかならないからだ。

それでは、そろそろ個人撮影に向けての準備にとりかかることになる。たった一人でやるもよし、まずは仲間内で始めるもよしだ。参加費を払って撮影会に参加して撮る場合は、カメラだけ持って行けばいいことになるが、自分ではじめるとなると最低限レフとかは必要になる。もちろん、気の利いたロケーションもいくつか用意できていなければならない。
モデルもいないのに・・・って思うかもしれないが、モデルとの出会いなんていつやってくるかわからないのである。見つかった時にタイミングよく話が進められないのはよくないわけだ。このタイミングってのが、かなり重要であるのは、私の経験上言い切れることなのである。
都心に住んでいれば、大型のレフやレフスタンドなどは、すぐに調達できるが、地方ではそうはいかないのであるから、余裕を持って吟味し準備をしておくことだ。

撮影に自信が持て機材も充実し、いつでもどうぞの態勢にしておくのである。それから、モデル探しをしても遅くないのだ。
ネットで探してもいいし、誰かの紹介だっていいが、やっぱり、見た瞬間に撮りたいと思った相手をなんとか口説き落としたいものである。初対面の場合は慣れが必要だろうが、警戒されるようなことのないようにしたいものである。最近は物騒な事件も多いし、とにかく最初は安心感を植え付けたいものである。
私が最近、ダサいカメラバッグではなくて、Creedのレザーバッグにカメラを入れて街に出ているのも、モデルにしたいと思う女の子と出逢いがあった時のことも考えてのことである。

カメラも持たない見知らぬ男に、声をかけられて「モデルしてみる気ないですか?」と聞かれた場合、何の疑いも抱かない女の子はいないだろう。だからと言って、カメラマンベストを着て大きなカメラバッグを持った男も、敬遠されるのは目に見えている。明らかに「写真を撮るのが好きなんです」って格好はやめておきたいものだ。まず第一印象で却下間違いなしなのだから。
TVドラマでカメラマンはかなり良く出てくる職業のひとつだが、いかにもって衣装は着ていないはずである。お洒落なイメージでキャラクター設定されているのは間違いない。二枚目の役者に対抗せよと言っても無理があるが、あのイメージからかけ離れるのは良くないのである。女の子ってのは、そういう所を瞬間的に見ている生き物だから。

カメラを何気に持ち歩くのは、別にその場でテスト撮りするからではない。そうなれば話は早いのであるが、そう事を急いではいけない。とにかく、カメラマンを語ったナンパだと少しでも思われたら、その第一印象を覆すのは難しい。ある程度、話を聞いてもらえてから、さりげなく写真の上手い人間であると分かってもらえればいいのである。普段使いのバッグの中から、縦位置グリップの付いた大きなカメラとレンズが何本か入っていれば、「うわぁ、すごい!」ってことになるのである。その他にも私なりに、女の子をその気にさせるモノや話術を持っていたりするわけだ。
しかし、現実はなかなか厳しいものがあり、先日もあっと思った女の子を見かけたのだが、先を急いでいたので声を掛けそびれてしまったのであった。ホント、タイミングこそすべてってことだな。


<−戻る